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『トゥルー・ロマンス』



ええ、昼間にやってるような、大昔のB級西部劇なんてものにはよく「金の心を持つ優しい娼婦」ってえのが出てきます。
有名なやつでは『駅馬車』もそうじゃなかったかな。B級じゃないけど。
昔の西部には女が少ないもんで、女の役割が一本化されてますな。

脚本が売れるまでのクエンティン・タランティーノはレンタルビデオ屋の店員で、こういうB級アクションやカンフー映画をたくさん見てたんでしょうな。

この映画の主人公クラレンスはコミックブック店の店員で、プレスリーマニア。
女としゃべってても
「もし男とやらなくちゃいけないはめになったらエルヴィスとやりたい」
と言っていきなりドン引きさせてます。
んで、そのうえで
「映画行かないか?サニー千葉三本立て」

・・・行かねえよ! 普通、女は!
そんな場末の映画館で、しかもカンフー映画なんて!
とても堅気には見えないおねーさんにも断られてます。そりゃそうだ。

モテないだろうなあ。このひと。
・・・といっても演じてるのは当時大人気のクリスチャン・スレーターなのでちゃんと女子受けするタイプなんですが。

断られても毎年誕生日に映画館に行く決まりなのでそのまま千葉ちゃんを見てると
かわいい女の子アラバマちゃんが話しかけてくるではありませんか!
彼女はヲタ丸出しのクラレンスの話を(嫌がらずに)楽しそうに聞き、そのまま一夜を共に・・・

クラレンス史上最大の一夜!
トニー・スコット監督独特の青っぽいラブシーンが終わって彼女が言うには
「あたし実はコールガールで、あんたが勤めてる店の店長さんがうちに依頼して、それで来たの。あんたの誕生日プレゼントだって」
あまりのことに呆然とするクラレンス。

↓以下日本語吹き替えの台詞(テレビ版)

「あたしはまだコールガールになって三日目。あんたが3人目の客。だからまだ使い古しじゃない。あたしはすれっからしの売春婦じゃないわ。あたしはまともな女よ。そして好きな男ができたら100%尽くす。あたしは一人の男に尽くす女よ。
クラレンス、こんなこと言うと馬鹿みたいだけど。
知り合ってたった一晩だけで、しかもコールガールのくせして。
・・・あたしあんたが好きよ。」

そして翌朝ふたりは結婚。晴れて夫婦に。
え?話早すぎる?まあ聞いてよ。

ヒモなんか「ぶっ殺せ!」というプレスリーの守護霊(?)に導かれ半分
成り行き半分でクラレンスはアラバマのヒモをぶっ殺すわけです。
それで家に帰ってきたクラレンスを見てアラバマが

「あいつを殺すなんて・・・人を殺すなんて・・・すごくロマンティック・・・!」

「ロマンティック」というのはこういうときに使うんですね。人生日々勉強。

んで、アラバマの服をもってきたつもりがトランクいっぱいのコカインが入っててふたりで逃げるというお話です。

この映画は脇役が豪華で、プレスリーにヴァル・キルマー(顔見えない)父親役にデニス・ホッパー(実直な鉄道員役はギャグにしか見えない)、笑いながら人殺すクリストファー・ウォーケン、ヒモにゲイリー・オールドマン(『レオン』と同じ路線)、ヘロヘロのジャンキーに売り出したばかりのブラッド・ピット。他にもクリス・ペン(太りはじめ)、トム・サイズモアなんてのもいます。今回見ててサミュエル・L・ジャクソンがすぐ殺される役で一瞬出てたのには感動した。

アラバマをメタメタにしばくのは後に『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』でソプラノ一家の親分になるジェームズ・ギャンドルフィーニ。

タランティーノは脚本だけで演出してないのでテンポがよくて、女の子がけなげで強い!

パトリシア・アークエットは今ではどっしりした霊能ママのドラマをやってるけど、このころは陸に上がった人魚姫のようにかわいい。
演技も計算とか技術というよりも、本当に役柄をつかんでる感じ。
普通だとありえないような設定のヒロインに命を吹き込んでます。

私はハンス・ジマーの音楽が好きだった。
なんとなくメルヘンで、アラバマの可愛らしさそのものだから。

最後にアラバマは何度も”You’re so cool!”と言うんだけど、これはなんて訳すんだろう。
普通に「すごくかっこいい」?
「なんてかっこいいの」とかでもいいかな。

この映画は意外と私の周りの女子にも評判よくて、「この映画好き」という人は多いです。
でも脚本家のタランティーノは本来の結末と違ったものになったのでご立腹だったそうです。
アメリカン・ニューシネマみたいな結末だったら、女子はこの映画見てないよ。クエンティン!




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