もし、自分のこどもが余命いくばくもないような、重い病気になったら?
親ならなんだってするはず。こどもを救うためなら。
もし両親も、幼い長男もドナーになれないとしたら?遺伝子操作でドナーになりえる、別のこどもを生むことだってきっとする。
キャメロン・ディアスが初めて母親役を演じた映画。
看病のために仕事を辞めてかかりきりになった母親らしく、ほとんどノーメイク(に見える状態)で演じている。
『ベスト・フレンズ・ウエディング』(1997)、『メリーに首ったけ』(1998)以来ラブコメの女王として君臨してきて、30代後半にして母親の役にシフトするときがきたけど、ちょっと感心した。
いっぱいいっぱいなところのある母親で「熱演」だが、「やりすぎ」にはなっていないのである。
普通なら「泣いたりわめいたり」というところで、ここが見せ場とばかりに「私女優よ」演技したがるだろうに。
(映画としてのバランスを壊すほどやりすぎてしまった例として『アイ・アム・サム』のミシェル・ファイファーを思い出してほしい)
キャメロン・ディアスだけでなく、夫のジェイソン・パトリックもはじめていいと思った。
次女役のアビゲイル・ブレスリンちゃんも、長男役のエヴァン・エリングソン(CSI:マイアミのホレイショの息子役)も好演だけど、この映画の白眉は長女ケイト役のソフィア・ヴァジリーヴァ。
ソフィア演じるケイトが「みんなあたしを見る。醜いから」と泣きだせば見てるほうまで本当に悲しくなってきて、反対にこの子が笑うと観客も微笑んでしまう。
TV「ミディアム」の長女アリエル役でも知られる1992年生まれのソフィアはお芝居が上手っていうだけじゃなくて、観客の心をつかむ術を知ってるから。
白血病のケイトが病院で知り合う抗がん剤仲間の男の子とのはかない恋は初々しくて、そして切ない。
いつのまにかこんなに大きくなっちゃったのねえ。
ずっと守られる側だった娘は、母親を抱きしめて慰める。母と娘の役割が逆転したとき、私は映画の中の母親と同じように泣いてしまった。
■追記:
判事役のジョーン・キューザックが素晴らしい。
娘の名前を出された途端にぶわっとあふれる涙でこのキャラクターの「決壊した感じ」が伝わってくる。
コメディをやれる人はなんだってやれる。
撮影当時15歳で本当に頭を剃ったソフィアは実生活でキスしたことがなくて、この映画でのキスシーンが「人生ではじめて男の人にキスする瞬間」だったそう。(eiga.com)
キャー!
しゃぼん玉はケイト(ソフィア・ヴァリジーヴァ)の象徴。
日本の童謡とも共通するイメージに驚く。
『私の中のあなた』公式サイト